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Channel: ~風に吹かれて~ by ポー(paw)
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レッスン8 「恐れ」のレッスン(2)

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「・15のライフレッスンbyキューブラーロス」カテゴリーからの投稿です。

 

恐れの感情は見かけよりは複雑なものであり、層をなして入り組み、重なっている
事が多いのです。恐れの感情の層を一つ一つ剥がしていくと、一番底辺に、全ての
恐れの根源となる層が見えてきます。それはたいがい死への恐れです。例えば、仕
事上でひどく心配な事があるとします。その心配の層をめくると、失敗するのでは
ないか→昇進できないのではないか→首になるのではないか→生活できなくなるの
ではないか→それが死への恐れに直結しているのです。煎じ詰めれば、ほとんどの
危惧や懸念は死への恐れに帰結するものです。

もし恐怖心を綺麗さっぱり取り除く事ができていたら、人生はどうなっていたでし
ょうか。考えてみてください。自分の望みを邪魔をするものが何一つなかったとし
たら、人生は全く違うものになっていたはずです。死の床にある人たちが学んでい
るのは、実はその事なのです。差し迫る死は、人を最大の恐怖に直面させます。そ
してその人に、あったかもしれない別の人生について考えさせます。その結果、死
の恐怖以外の全ての恐怖心が薄れていくのです。しかし、残念ながらほとんどの人
は、死の恐怖が消えたときにはもう残された時間が余りありません。やりたい事を
やり抜いて生きた人も、いつかは歳をとり病気になります。但し、その場合は後悔
する事はないでしょう。充分生きたと満足して死ぬ事ができます。そこに重要な
レッスンがあるのです。

人生で経験する感情には、幸福、恐れ、喜び、恨みなど、様々なものがあります。
しかし、そのずっと底の方の、人間の核となる部分には、愛と恐れという二つの感
情しかありません。あらゆる肯定的な感情は愛から生まれ、あらゆる否定的な感情
は恐れから生まれます。愛からは幸福、満足、平和、喜びが湧き上がり、恐れから
は怒り、憎しみ、罪悪感が湧き上がります。

基本的な感情には愛と恐れの二つしかない事は確かですが、その二つには両立する
事ができないという特徴があります。愛と恐れを全く同時に感じる事はできないの
です。我々は一瞬一瞬に、愛か恐れのいずれかを選択すべくせまられ、たえずどち
らかを選び取らなければなりません。そして、困難な状況のもとでは、恐れではな
く愛を選び取ることは極めて難しいのです。

愛を選び取ったら、もう二度と恐れを感じなくなるというわけではありません。愛
を選び取っても恐れを感じるのは、食べてもいずれは空腹になる事と同じだと考え
れば良いのです。体に栄養を与え、空腹感を追い払うために食事をするように、魂
に栄養を与え、恐れを追い払う為に、我々はたえず愛を選び続けなければならないのです。

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知り合いの会社経営者の口癖は、困難に遭遇したときに「命まで取られるわけでは

ないから」でした。多くの困難な経験をしてきたからこそ、その境地に達したのでしょう。

健康な状況ならば、このような考え方で多くの壁は乗り越えられるのではないかと

思います。

 

「愛」と「恐れ」のどちらを選択するか?ここには個人の確固とした哲学がなければ難し

いかもしれません。いわゆる「生きざま」です。しかし、本能的にホームに落ちた人を助

けようとして命を落とした方もおられます。いろいろな意見があると思いますが、彼は自

分の良心にストレートに従い行動しました。彼の中では、「愛」が「恐れ」に打ち勝ったの

でしょう。三浦綾子の「塩狩峠」の鉄道職員も我が身を呈して列車事故を防ぎました。こ

の物語も実話したね。

 

この世にいる限り、常に「愛」と「恐れ」の選択を突きつけられことでしょう。日々、「愛」を

選び続けること。そのためにはどうすればよいのでしょうか?ほんの小さな事から自分

の良心に照らしていくことでしょうか?そのためには、毎日毎日を真剣勝負で生きてい

く姿勢が必要なのかもしれません。


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