「困っている人」 大野更紗著
本文から〜
破裂したお尻の後には、脂肪組織が流れ出した痕、まるで洞窟のように巨大な空洞ができあがった。おしり洞窟。
おしり女子は、ついに人類から有袋類へと、超絶的な変身を遂げた。ビルマ女子→難病女子→おしり女子→有袋類。
人生とは、確実に妙ちきりんなものである。
こんな本、かつて読んだことがありませんでした。
いや〜、一気に読んでしまいました。民主化運動、人権問題から難民を追いかけていた彼女が、自ら、
この日本国の難病難民になってしまう。病苦で死んでしまいたい心情さえもコミカルに描いています。
物凄い命の切羽詰った状況なのに、その表現に暗さが全くない。思わず笑ってしまう表現が盛りだくさん
です。
私の義母は、彼女と同じような多発性硬化症という病で他界したのですが、義母の大らかな性格が思い
出されます。特にこの期に及んで、イケメンに弱かったところが・・・^^;
どんな状況であれ、元気に強気に生きている言葉には勇気をもらえますね。(たとえ裏側の影の部分で
嗚咽のような涙が隠されているとしても・・・)
大野更紗 ブログはこちらです。
1984年、福島県の中通り地方に出生。女子高校卒業後、1年間の浪人期間を経て上智大学外国語学部
フランス語学科に入学し卒業。大学在学中にビルマ(ミャンマー)難民に出会い、民主化運動や人権
問題に関心を抱いてNGO活動に参加したことを機に、同大学院グローバルスタディーズ研究科地域研究
専攻修士課程に進学するものの、2008年に自己免疫疾患の一種である皮膚筋炎および筋膜炎脂肪織炎症
候群を発病し休学。1年間の検査と9ヶ月間の入院治療を経験する。退院準備の最中、作家の高野秀行の
ラジオ番組を聴き、高野にメールを送ったことがきっかけとなり、2010年に闘病体験記『困ってるひと』
をポプラビーチにてウェブ連載。主にTwitterにおける口コミなどで評判となり、2011年6月に書籍化。